ゆずおじさんの小話。

ほんわりなごむ小話集...

一輪車競争。

一輪車競争といえば...

 

 

小学5年のときの話。

 
 
僕の通った小学校では、3年生から『一輪車』で遊ぶことが許されていました。
それで、小学5年のとき、町のイベントだったか、小学校のイベントだったか、『一輪車競争』の大会が行われました。
 
一輪車は、3年生になると休み時間誰もが体育館に向かい練習するので、だいたい誰でも乗れるようなります。
 
僕も、休み時間一生懸命練習し、バックとかそういうのはできませんでしたが、まぁ普通に乗れるようにはなっていました。
 
しかし僕は、運動神経はあるほうじゃなく、足も遅い、そしてもちろん一輪車で速く移動できるかと言ったら全然だったので、そんな大会があるといってもあまり意気込みはなく、しょうがないので参加するか、くらいの気持ちでいました。友達も出るし。
 
 
大会は小学校の運動場で行われ、各レース10人ずつくらいがヨーイドンでスタートし、半周周った先のゴールに3位以内でたどり着けば次のレースに進むことができました。
 
ただ単純な競争です。何かしら特別なスキルが必要なわけでなく、ただ『一輪車で速く移動できる』能力のみが必要で、当然、純粋に速い者が勝ちます。
 
 
...そう、思っていたのですが。
 
 
僕の最初の出番は、3レース目か4レース目くらいでした。
自分の出番が来る前、他のレースをチェックしてた僕は、あることに気づいてしまいました。
 
 
第一レース。
 
 
よーい、ドン!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第二レース。
 
 
よーい、ドン!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あいつらアホで、自分が前へ前へ行こうとして密集したとこ進むもんだから、スタートしてまもなく絶対誰かと誰かが接触してみんなでズッコケるんです。
 
 
当然、作戦は一つしか思い浮かびませんよね。
 
 
僕が出場するレース、僕は、あえて少し遅れてスタートすることにしました。
 
 
 
よーい、ドン!!
 
数秒遅れてスタートし、一番後ろをキープ、さらにちょっとトラックの外側を狙って走ります。
 
 
するとやっぱり...
 
 
 

学習能力のない猿どもめ。
 
しかし、僕も余裕ぶっこいているわけにはいきません。当然ヤツらは死んだわけではなく、また起き上がり走り始めるのです。
 
 

 
 
鈍いですが、地味に、しかし確実にミッションを遂行せねばなりません。
 
 
 
 

 
やはりというべきか、僕の作戦は大成功を収め、次のレースへと進むことができました。純粋に実力だけでならどう考えても無理だったはずなのにです。
 
 
どうですか、この姑息な行為?すばらしいと思いません?
 
 
しかも、僕の快進撃は止まりませんでした。
次のレースでもまんまとこの作戦を成功させ、なんと決勝まで進出してしまったのです。
 
 
なんというズル賢い小学生なんでしょう。にくたらしいですね。勝つためには手段を選ばない汚い大人の心を持った子供です。
 
ふふふ、だけどね、これが世の中ってもんなんですよ。バカ正直にレースなんてやってられませんよ。ケケケ...
 
 
もともとやる気なんて全然なく、てきとうに参加しとこうとか思っていた僕、しかしなんともふてぶてしいことに、決勝戦を前に、金メダルまで狙おうとか考えていました。(1,2,3位に入賞した人にはなんとメダルがもらえる大会だったんです。)
 
はっきし言ってメダルというのは小学生にとって、めちゃくちゃ価値のあるものです。もう、めちゃくちゃにです。
 
当然、一位なんて本来、僕のような子が狙えるものじゃありませんでしたが、ここまであの作戦が成功すると、不可能ではないと思っていました。いや、必ず獲ってやると密かに思っていました。
 
 
そして決勝戦
 
よーい、ドン!!
 
僕は、それまでのように数秒遅れて一番後ろをキープして進みました。すべては計画通りに。
 
するとやっぱり前の連中は全員ずっこけ...
 
 
 
 
 
僕の作戦は成功したかに思えました。
 
いや、実はこのときすでにそのズッコケ連鎖の巻き添えを避けた人間が、僕の前にいたのかもしれません。

 

正直、その辺はあんまり覚えていません。それは、ただ一輪車をこぐのに精一杯で周りを見る余裕がなかったというのもありますが...

 

 

 

ガシャン!!

 

 

 

焦っていた僕は、なんと、ゴールを目前にズッコケてしまったんです。


 

これは致命的なミスです。

 

なぜなら僕は、何か支えをなくして一輪車を出発させることができなかったんです。一応補足しておきますが、このレースもスタート時は参加者の横にもう一人支えとなる人がいます。支えなしに乗り出すのはちょっと難しい技術やバランス感覚が必要で、当時の僕は、それができなかったのです。


 

ゴールはすぐ目の前。ほんの数メートル。しかし、僕が再スタートできないんなら辿り着くのは不可能。


 

僕は...













 

「なおっくーーーーーーーーーん!!!!!!!」(ロデーーーーム!!)









 

大声で当時仲の良かった友達を呼びます。スタート時に僕を支えてくれていたのも彼です。




 

「早く早く早く!!!急いで急いで!!!」



 

友達は猛ダッシュで駆けつけてくれました。ついでに言うならずっこけたヤツらも復活してこちらに近づきつつありました。

 

焦る僕。

 

焦る 焦る、


 

そして...




 

ゴォーール!!!



 

 

 

結果は...

 

 

 

 

なんと3位!!

 

 

 

結局、目標だった金メダルは逃してしまいましたが、なんと3位に入賞。銅メダルをゲットすることができました。

 

これはもう僕の作戦勝ちでしょう。

 

もともとスピードなんて下から数えたほうが早いんじゃね?ってくらいだったのに銅メダルをゲットです。

 

狙っていた金メダルは逃してしまいましたが、とにかくメダル。全然満足です。これだって出来が良過ぎでした。

 

 

その日僕は学習しました。

 

 

世の中、正直者は馬鹿を見る。

 

何事もどんだけ頭を使って、どんだけ汚い手段で、どんだけ人を蹴落として勝利を手にするかが大事なのだと。

 

ふはは!!

 

ふははははは!!

 

オレ様の足元にひざまずけ!!ははははははは!!

 

 

(↑小学5年生)


 

えーと...


 

こんな子に育っちゃ、ダメ!`

 
 
 

 

 


★応援ヨロシク★

☆今日の一言☆

なぜ人生の競争には負けてしまったのか...('ω')?