ゆずおじさんの小話。

ほんわりなごむ小話集...

ポケベル。

ポケベルといえば...

 

高校2年の時の話。

 

僕が高校生の頃、ポケットベル「ポケベル」というものが流行しました。

5×8cmくらいの、 クレジットカードを一回り小さくしたようなサイズでしょうか、それに+1cm~くらいの厚みを持たせた、メール受信専用の機器のようなもの。

当時、携帯電話というものは、今のように当たり前の存在でなく、家の固定電話や公衆電話から打ち込んで送るものです。

 

文字数も10文字~20文字、しかもカタカナ表記のみ。または、もっと古いやつは、数字がちょっとした画面に映るのみで、「0833」(おやすみ)、「4510」(仕事)等、読み手が数字を頭で変換しないといけない方式でした。

 

高校一年の初っ端友達作りに失敗した僕は、高一の秋頃から、中学のとき仲が良かった3人組でよく遊ぶようになっており、二人の陽キャが持ち始めた「ポケベル」に興味を持ち、自分自身も所持するようになっていました。

 

ただ、当時は、学校内でその所持は禁止されており、先生に見つかると取り上げられたり、親に注意が行ったりと、「校則違反」扱いとなるものでした。

 

なお、学内にほぼ友達がいなかった僕には、ほとんど月額料だけ取られる無用の産物となっていったのでしたが...

 

ある日、午前の通常授業より早い英語の課外授業を受けているとき、僕のカバンから

 

ピッピッピッピッ...

 

小さな小さな音が鳴り始めました。

 

誰もが小さいながらも、その音に気付いていたはず。

 

ピッピッピッ...

 

先生は、50半ばか、小柄で白髪の多い男性、おとなしくて無口、もともと生徒の私生活にはほとんど干渉しない先生。

音が鳴っても、鳴りやんでも、その時は淡々と授業を進めるだけでした。

 

違う...

 

違う...

 

先生、これは...

 

ガサガサかばんをあせくっても、逆に悪あがき。ただ、少し、時が経つのを待ってその場をしのごうと思っていましたが。

 

音は30秒もしない間に鳴りやんでいたと思います。少しの間だけです。

 

授業はそのまま継続して、終わりを迎えました。

 

しかしそのいつもは怒らない先生も、授業の終わりには、教壇で誰に向けるでもなく、気持ち憤慨した感じで言いました。

 

 

「学校には、ポケットベルは持ち込み禁止ですからね。」

 

 

僕は、とても先生に言い訳ができませんでした。

 

 

うぅ...

 

先生、違う、

 

俺は...

 

これは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たまごっち。なんだ...

 

 

 

たまごっちがエサを欲しがって鳴いていたとは。

 

 


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☆今日の一言☆

たまごっちも持ち込んじゃだめだと思う。

 

 

山の中。

山の中といえば...

 

大学3年の時の話。

 

その日僕は、後輩と二人で、渓流釣り?というものに出かけていました。

 

当時、僕は、釣りというものに興味があまりなくて、海へみんなで釣りに行っても、ビール片手に、エサ取られた釣竿いつまでも下げていたりするタイプだったのですが。とりあえず、お出かけは嫌いでない、自然は大好き、魚食べるのも大好き、ってことで、後輩の運転する8人乗りくらいのワゴンの、助手席に乗せてもらい、目的地へと向かっていました。

 

それで、1時間くらいかけて目的地の近くに来まして、それでもまだ朝の5時半くらい。

ちょっと道に迷ったかもしれない、ということで、二人で地図を確認することにしました。

 

もうその辺りは、山の中も山の中。人っ子ひとりいるはずないような所で、なので、車もそのまま道の真ん中に停めてまして...

 

これ、俺、地図見てわかるんかな?なんて心の中では密かに思いつつも、二人で地図を見ていると、突然、後部座席のドアが開きました。

 

間違いなく、誰かが後ろに乗ってきた。けれど、まさか、こんな時間、こんな山奥で...

 

僕たちは、ちょっとビビって後ろを振り向けず、もはや目に入っていない地図を見つめて固まったまま。

 

おいおいおいおい、これってまさか、幽霊とか、そんなん...

 

嫌な予感が脳裏をよぎりました。

 

後輩と僕、どちらが先に後ろを振り返ったかはわかりません。

 

基本的に僕、ビビりなんで、心臓バクバクだったんですが、後輩の手前、そんな姿を見せるわけにもいきませんし、勇気を出して後ろを...

 

と、ちょうど耳に入ってきた声。

 

 

「あらぁ、違うひとけぇ??」

 

 

見ると、ばぁちゃんが一人、後部座席に座っていました。

どうやら間違って僕たちの車に乗り込んだみたいです。

 

間違いに気づくと、ばぁちゃんはすぐに車を降りて行き、幽霊でなく普通の人間だったことに安心した僕たちは、二人で顔を見合わせ爆笑しました。

 

それにしても、こんな山奥で誰かと待ち合わせ??なんて疑問も浮かんだのですが、ま、いいか、と二人でまた地図を確認することにしました。

 

そして、しばらくすると、後ろから車の来る気配がしました。

どうやら、ばぁちゃんと待ち合わせをしていたひとが来たみたいでした。

 

 

 

車は、

 

 

 

 

軽トラでした。

 

 

 

 

ばぁちゃん、間違えるにもほどがあるでしょ!!

 

8人乗りワゴンと、軽トラ!!

 

引き戸と開き戸!!

 

「あらぁ、違う人けぇ??」ってその前に、思いっきり車間違ってますから!!

 

 

で、その日釣りを終えて、家に帰って気づいたのですが、後部座席には、みかんの皮が落ちていました。

 

 

ばぁちゃん!ゴミは持ち帰ってよ!!

 

みかんの皮は持ち帰ってぇ!!

 

 

 

☆今日のひとこと☆

あんなばぁちゃんになりたい。

 

 

 

 

自販機の話。

自販機といえば...

 

冬の職場に着くまで車で50分。よく、行きに立ち寄る自販機があります。

いつも僕はそこでヨーグルト的な飲み物を毎度買うのが日課でした。

 

ある日いつものように、自販機に向うと、何やらおんぼろい2tトラックと、怪しいオッサンが...

 

自販機の前でぶつぶつ言っている。...気がする。

おつりの出口を、手であせくったり、いろんなジュースのボタンを押しまくっている。

 

なんか、やべぇ奴がいるな...

 

あまり近づきたくないなと思い、その日は行きの、日課は、あきらめました。

 

夜勤を終え、次の日。

 

さて、今日は昨日買えなかったヨーグルト的な物を飲んで帰るか!

だいたい、俺は常連だぞ!

 

帰りの道でその自販機に寄るのは、まれでしたが、前日飲みそこなった分を飲んでやろうと思っていました。

 

自販機に車で立ち寄ると、今日は誰もいません。

よしよし、と思い200円を投入。

 

そして、いざ、そのヨーグルト的な物を押すと、あれ?なぜかジュースが出てこない。

 

お金を確認する。入っている。

 

ボタンを押す。ジュースが出ない。

 

よく見ると10円かなにかが、釣銭切れマークがついています。

 

なんだよ...買えないのか??

 

そう思い、おつりレバーを捻るも、今度はお金が戻ってこない。

 

なんじゃ!おい!釣銭切れって、俺の今入れた分は、そこにたしかに在るはずだろ!!

 

「なんなんこれ!?」「ん?え?」「なに?」

 

他のジュースのボタンを押してみる。出てこない!

おつりレバーを捻る。出てこない。

おつりの出口をあせくる。お金、ない。

ぶつぶつ言う。ボタンを押す。ボタンを押す。おつりの出口をあせくる。お金、ない。

 

気づくと、完全に、自分が怪しいおっさんになっていた。

 

輪廻転生とはこのとこか...!!

 

と、思い知った日でした。(うん、輪廻転生ではない)